
ここまで、浦和の4試合を見てきた印象では、「一番ボールが収まるFWは興梠慎三選手」と実感しています。ミシャ監督は、1トップに決して長身のポストプレーヤーを置かない監督のイメージですが、FWがボールを持つことは重視しており、その適任者は興梠です。
興梠は、元来スピード型のFWです。鹿島時代は2トップで、動き回ってボールを引き出す選手でした。そのため、浦和の1トップに入ると、動き回ってボールを受けても横に選手がいないというのが第一印象だったと聞きます。
浦和で1トップに定着してからは、「動けるポストプレーヤー」というイメージが強いです。待って受けるタイプは重用しないミシャですが、興梠のように自ら引いてもらいに行く動きは評価しているようです。事実、2013年は開幕から5試合ノーゴールでもスタメンを外されませんでした。
もちろん、カウンターを仕掛ければ興梠の走力が生きます。柏木のパスセンスに一番反応できるのは興梠で、攻守の切り替えで1トップ2シャドーに入れる形は浦和の勝ちパターンです。エゴイストもいるFWというポジションですが、興梠はチーム全員でゴールをすることを考えていて、去年のベストゴールに自分が決めたゴールではなく、自分のパスから宇賀神が決めたゴールを挙げたほどです。
今季、浦和はズラタンを補強して1トップは競争になりましたが、興梠の持っている動くポストプレーはなかなか真似ができないです。ズラタンがポストプレーは苦手、李もポストプレーヤーではないことを考えると、今季もどうやら興梠が軸になりそうな1トップ争いです。
もっとも、湘南戦ではキャンプでもほとんどやっていなかった石原の1トップを急遽試すことになりました。今日の山形戦もスタメンの1トップは石原が有力という埼玉新聞の情報です。スピード型で、広島時代に佐藤寿人の負傷中に1トップをやっていた石原なら、違った1トップ像を見せてくれるかもしれないと、今日の山形戦を楽しみにしています。