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ポゼッションもできる(12/21Rマドリード対サンロレンソ)


以前、欧州CLのRマドリード(スペイン、以下レアル)の試合(アウェイのリバプール戦)を見たときの印象で、レアルは堅守速攻のチームという印象でした。派手なチームより現実重視の手堅い戦術を好むアンチェロッティ監督らしいと思っていましたが、相手が引いてきたときに堅守速攻のスタイルだと、膠着状態になって打開が難しいのではという印象も持っていました。

今回のクラブW杯決勝の相手、サンロレンソ(アルゼンチン)は守備的なチームという前評判でした。チーム創設106年目で初めて南米を制した要因は、ボランチのメルシェル(5番)とオルティゴサ(20番)のボール奪取力という評価でした。事実、サンロレンソは4-1-4-1の布陣ながら、MFの4人を低い位置に引いて、レアルのパス回しをカットしてカウンターというゲームプランでした。

こういう相手にレアルはどう戦うかは注目でしたが、まるでバルサのサッカーを見ているかのような、高い位置に最終ラインを上げて圧倒的に支配するポゼッションサッカーも、やればできることをこの大舞台で示したのはさすがだと思います。レアルは4-3-3ですが、ロナウド(7番)、ベンゼマ(9番)、ベイル(11番)にスピードも個人技もあることを利用して、アンカーのクロース(8番)から供給したパスで圧倒的に攻めました。

この試合では、ロナウドが準決勝で負傷していて強行出場だったこともあり、ロナウドに18試合24得点というスペインリーグで見せている圧倒的な破壊力こそ見られませんでした。それでも、彼らの持っている技術は遺憾なく発揮され、足が届けばアウトサイドのキックだろうがトーキックだろうが、どんな場面でもシュートを狙う彼らの貪欲さは現れていました。

0-0が長い時間続けば、サンロレンソのゲームプラン通りになる試合でしたが、レアルにとって大きかったのは前半終了間際にセルヒオ・ラモス(4番)がヘディングで先制点を取っておいたことです。準決勝でも先制点を取ったラモスの、ポジショニングと動きの質で相手のマークを外す、欧州王者らしいテクニックでした。

このゴールが効いて、サンロレンソが攻めざるを得なくなれば、いつもの通りのレアルの堅守速攻に戻します。華麗なプレーはできるが、本当に必要なときにしか出さないという、現実主義のアンチェロッティサッカーの良さが出た試合だったと思います。2点目のゴールにつながった、クロースのパスでベイルが空いたスルーパスのような、技術の良さも見られました。