昨日の清水戦はスタンド観戦だったので、恒例のマニアック分析を書きます。清水のスタメンを聞いたとき、MFにボランチ的な杉山と村松を置くのは予想できましたが、竹内は初めて聞く名前だったのでどういう意図で入れたかは注目でした。八反田、石毛ら実力ある選手を控えに回しての起用ですから、何か理由はあるはずです。
竹内の特徴はその運動量でした。小柄な選手ですが、ボールをひたむきに追いかける姿勢はプロ好みで、コンパクトに陣形を保とうとした清水の戦略にマッチする選手でした。昨日、清水のサッカーをフィンケ時代のレッズに似ていると書きましたが、ボールを取るまでの守り方は似ていますが、攻め方はだいぶ違っていました。
その攻め方はバレーを縦一本のパスで走らせる戦略でした。バレーというFWは190cmの身長があるので、一見ターゲット役に使えそうに見えますが、実際はポストに入ると強くなく、スピードやテクニックを使った方が生きるFWです。そんなバレーを走らせ、浦和DFと競走を挑んだゴトビ監督の戦略が清水の勝因でした。
浦和側の事情を考えると、相手に嫌なところを突かれてしまったと思います。浦和はカウンター時の危機管理要員として帰陣力の高い坪井と平川を昨年は使っていましたが、今年は右サイドの攻撃力を強化しようと、パスを出せる森脇を補強しています。確かに森脇加入のメリットは大きく、正確にロングボールを蹴れて上がったときは確実にクロスで終わってくれる攻撃面は申し分ありません。
しかし、今回は森脇の数少ないデメリットを狙われてしまいました。坪井が俊足自慢で名古屋FW永井にも勝てるスピードを誇っていたのと比較してしまうと、どうしても森脇に同じものは期待できません。開幕当初はバレーの使い方に戸惑っていたゴトビ監督も、森脇に1対1で勝てと明確なミッションで送り出し、バレーも見事期待に応えたと思います。
ただ、やはり0-1の敗戦である以上、守備陣は責められません。もう少しグラウンドを広く使って、清水のプレッシングをうまくくぐれなかったか、もう少し遠目からでも意欲的にシュートを狙えなかったかなど、攻撃陣に反省点が多く見られます。もっとも、広州に勝つことが大きなミッションだった彼らは疲れていたはずで、この清水戦はメンバーを落とす可能性も考えたはずです。無理して出たベストメンバーは、やはり疲れは隠せなかったと思います。