日本代表の岡田監督が、J2の東京Vで33試合20ゴールと得点を量産しているFW大黒将志選手の代表入りを考えているらしいです。大黒といえば、代表21試合で5ゴールの実績がありますが、一番印象に残っているのは、ジーコジャパン当時のW杯最終予選の初戦、朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)戦のロスタイムのゴールです。
ジーコ監督時代の日本代表は、1次予選の初戦のオマーン戦でロスタイムに久保がゴール、第二戦のシンガポール戦で藤田が終了間際にゴールと、チーム状態は良くないながらもぎりぎりのところで結果を出して解任を免れてきたという経緯があります。そんな「ツキ」のあるジーコ監督は、このときの共和国戦でも結果を出しました。
当時、若手FWだった大黒は、代表初招集だったこともあり、出番はおそらくないだろうと思っていたそうです。しかし、ベンチ入りメンバーにぎりぎりで入り、同点の展開で最後の交代枠で出場すると、引き分けが濃厚だったこの試合を、ロスタイムのゴールで勝ちにして、ドイツW杯最終予選の突破に大いに貢献しました。
大黒の長所は、ゴール前のスペースに対する反応の良さです。どこに行けばフリーになれるかということをよく知っていて、相手DFがバランスを崩したところにうまく入り込んでゴールを決める能力があります。ただ、ジーコ監督には代表に呼ばれていましたが、オシム監督や岡田監督になってからの代表入りはほとんどありません。
それは、大黒が海外でのプレーにこだわったからです。フランス2部のグルノーブルからオファーを受けて渡欧すると、その後はセリエAのトリノに移籍しましたが、少なくともトリノ時代はほとんど出番はありませんでした。これで、チームで出番のない選手は使わないという方針に変わった今の代表からは縁が遠くなってしまいました。
そんな大黒にとっては、Jリーグに戻ってくるのは必然でした。昨年、エースストライカーのフッキが抜ける東京Vにシーズン途中で加入します。ただ、東京VはJ2に降格してしまい、大黒にとっては不本意ながらJ2でプレーすることになりました。ただ、そこで結果を出してまた代表候補になるのは、さすがです。
FWは岡田監督が率いてからの日本代表では、なかなか核になる選手が見つかっていません。その候補は多いほどいいので、是非活躍を期待したいです。